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他の病気についてもその相関性が証明されている。酩酊で逮捕されるような、間接的な指標もこの部類に入る。

 

『物質乱用に関するプログラム』による現在のイニシアチブ
「物質乱用に関するプログラム」がアルコール問題に関する政策、研究、プログラム作りの分野でイニシアチブをとっている現状からうかがえるのは、アルコール使用が公衆衛生と社会にもたらす影響に対処するために、国家および世界が、政策とプログラムの作成と施行を今以上に力を入れて行う必要が生じているにとである。このようなイニシアチブは堅固で、科学的に有効な情報を土台として築かなければならない。従って、現在の優先事項における焦点は、国際的な疫学的調査、健康に対する危険性の評価、および社会的・経済的コストの評価となっている。
このようなイニシアチブの狙いは、異なる国々におけるアルコール使用の健康面・社会面での影響について知識を深めることに加え、アルコール使用と健康の因果関係に関する長期的な研究から得たデータを収集・分析することである。長期的研究における共同研究のネットワークを維持・促進することも当プログラムの重要な活動分野である。
PSAは、途上国社会のアルコール政策に関する知識べースを広げることにおいても先導的役割を負っている。具体的には職場におけるアルコール問題防止のイニシアチブを構築すること、アルコール関連間題について早期及び短期間のインターベンション(介入)を行う可能性を探ること、治療現場の水準向上を促進すること、若年者を対象とする初期予防対策プロジェクトのための革新的モデルをつくるにと等がある。

 

今後の活動における優先事項
アルコール使用の健康面・社会面への影響に取り組む政策、およびプログラム作りに関して、WHOは国際的にリーダーシップをとり続けていかなければならない。この意味合いから、今後の活動における優先事項として以下の事柄を挙げることができる。
・疫学的調査の強化と、危険性に関する更に厳密な評価を通して、アルコール政策とプログラム作成のための科学べースを構築する。
・アルコールの入手、販売促進、売買、製造、およびそれらが健康や社会に与える影響について管理する手段を更に追求する。
・他の地域や国家で試したり促進したりすることができるような適切な政策による管理方法を特定する。これには法による管理、飲酒運転対策、酒類入手の規制、価格、課税、酒類の宣伝と販売促進を制限する方法等が含まれる。
・飲酒機会の少ない若年者がたまに飲んだり無茶な飲み方をすることによって生じる危険に対処することを目的に、有害事象発生防止のための戦略を確立する。例えば、特定の社会やコミュニティー内において「低リスク」の限度と言えるものがあると認めるなら、耐性が低く飲酒経験の浅い若年者にとっての「低リスク」の限度とはどのようなものとなるのかを検討する。
・一次予防対策としての計画が優れ、良い評価を得ている手段を特定し、それを促進する。これには学校を基本としたアルコール教育プログラムも含まれる。
・アルコールの心臓病予防効果に関する研究について更に慎重な分析を行い、世界的な政策の枠

 

 

 

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